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2019年6月25日 (火)

いつまで・・

小学生低学年の頃の話。

田んぼが広がるのどかな町。

各学年一クラスの木造平屋の校舎だった。

校庭の真ん中には、シンボルとして柳が植えてあるのだが実際は邪魔な存在だった。

その柳が芽吹き春が訪れるころ僕らの地区一帯は、春祭りのシーズンに入る。

細かい地区にはそれぞれの氏神様の神社があって、祭礼の日が決められていた。

今はどこも、土日に合わせて変えてるようだけど、昔は平日でもきちんと守られてたんだ。

そして、その祭礼の日は学校が短縮授業になった。一時限くらい短くなった記憶がある。

とにかく、早く終わる。そして、親からお小遣いをもらって、神社に並んだ露店に急いでいった。

 

そのころ住んでた地区の神社が、一番早い日で春休みが明けて新学期になったと同時くらいにおこなわれた。

春祭りシーズンの幕開け。各学年一クラスしかないので、当然新学期になっても顔ぶれは同じ。

親から200円くらいのお小遣いをもらって、神社に行くとまだ、露店は準備中。同級生も集まって

みんな神社の社の周りを、お店が開くのを待つ間うろうろ。

田舎の神社なもんで、露店の数も知れたもの。おでん、焼き鳥、綿菓子、金魚すくい。

後は、当てくじや。そうそう、ちょっと前Youtubeで本当にあたりは入ってんのか?で

話題になってた、ああいうお店は当時からあったんだよね。

おでんは、一本一本串に刺してあって、家で食べるおでんとは全然別物。だしの煮干しが浮かんでたっけ。

露店の上に取り付けられた裸電球に明かりがともると、営業開始。

もうちょっと待ってれば、もっと出汁がしみこんでおいしくなるのはわかるんだけど、

待ちきれなくて手を伸ばしたナルトのおでん。うまかったぁ。

微細な埃がいっぱいついてただろう焼き鳥。うまかったぁ。

持って帰るとまた怒られるけど、ついやっちゃう金魚すくい。楽しかったぁ。

そして、銀玉鉄砲やなんかよくわからないけど、面白そうな景品の当てくじ。

外れでもらった、安っぽいチューインガム。これはまずかった。

お小遣いは、あっと言う間になくなる。

当時は本物のテキ屋さんがやってた露店のお兄さんは、子供は早く帰んなと、そっけなく言う。

言うけれど、そばでうろうろしてても別に邪険にはしなかった。

きっと、僕らのこのお祭りの雰囲気を味わってる喜びを知ってたんだな。

夏まつりではないので、日暮れると肌寒くなった。それを感じると僕らのおひらきの時間だ。

普段は真っ暗になる神社が、今日はいつまでも昼間みたいに明るくて去りがたい。

でも、僕らはそれを背にとぼとぼと家路につく。

これから神社に向かう親子連れを横目にね。

でも、僕らはそれほど寂しくはなかった。春祭りシーズンは始まったばかり。

今日みたいな日が何回もある。次はどこのお祭りだ?じゃぁ、**ちゃんの家に集合で・・

そんな話題で、毎日が盛り上げる。

 

4月の中頃を過ぎると、地区で一番大きな神社のお祭りの日が来る。

僕らの気合もいつもと違う。何しろドサ回りの一座も来て、芝居がかけられたり

露店の数もものすごく多い。おでん屋さんも2軒3軒と出るし、焼き鳥屋さんも同じくだ。

僕らも、いつもより多めにお小遣いをもらえた。

桁違いに楽しい。何よりお祭りに来る人の数が多くて、境内を歩くと人にぶつかる。

それがうれしかった。何のお店だろう?と覗き込まないとわからないのが楽しい。

芝居は、なんだかよくわからなかったし、内容なんて覚えてるはずもないけれど

生で見る舞台衣装を着た役者さんは、「芸能人」を見てるようだった。

僕のおやじは、元行商の魚だったこともあるので、そこの地区のの昔の仲間の魚屋さんに

頼まれて、その日はそこに手伝いに来ていた。だから、僕は結構遅くまで、お祭りを堪能できたのだ。

その魚屋の息子とは同級生だったので、僕も家に上がり込み、巻きずしとかジュースとかごちそうになった。

ちょっとしたお客気分で、テンションMAX。そこで出してくれるジュースは武田のプラッシーだ。

プラッシーはなかなか飲めない。記憶では、ここに来た時だけだったと思う。普段はよくてバヤリースだった。

プラッシーは色こそちょっと薄いけど、うまかった。バヤリースのように甘ったるくなくて、高級感漂う味。

 

夜になって、魚屋さんの仕事も一段落すると、おやじも今日一日の日当をもらって、帰り支度。

お祭りの帰りは、いつもはとぼとぼ帰るのだが、この日はおやじの自転車の後ろに、ちんまり座る。

田舎の一本道を、おやじの背中を見ながら帰る。真っ暗な中を自転車の明かりが照らす。

普段はしない仕事なのでおやじも疲れたのか、あまりしゃべらない。

自転車の後ろでかすかに臭う血の匂い。どれくらい魚をさばいたんだろう?

お祭りは楽しかった。プラッシーもおいしかった。でも、何よりうれしかったのは

お祭りの帰りを親と一緒に帰ることだった。至福のひと時。

 

家に着くと、忘れがたきおやじの一言。

あとは、**のお祭りだけだな。

そうなんだ、春祭りシーズンももう終盤。

あとは、僕の家の本家のそばの神社を残すのみなのだ。

楽しかった春祭りのはしごも、もう終わる。

おでんも焼き鳥も、もうすぐお預けになる。

学校の短縮授業も、無条件でもらえたお小遣いも、もうちょっとで終わる。

それは、どうあがいても避けられない。

いつもいつも、こういう日々があったらなぁと思うけれど

それはそれで飽きちゃうかも。だから、終わるのもいい。

どうせ、また来年始まるのだ。

楽しみは、毎年来るんだ。

そう思ってた頃が蘇る、今日この頃。

 

名古屋が終わり、あとは大宮と横浜で大団円を迎えるこのツアー。

僕の祭りはもう終わった。

お小遣いで焼き鳥もおでんも買わなかったけど、キーホルダーを買った。

当てくじはしなかったけど、おみくじを引いたら中吉だった。

いつもいつもこういう日があったらなぁと、思う。

思うけれど、たぶん、こういう日は来ないだろう。

来ないだろうけど、別の形の祭りが始まってもいい気がする。

それがなんだかはわからないけどね。

 

毎日更新は無理だよなと思いつつ、毎日何か書いている。

こうなったら、どこまで続くか、挑戦だ。

あぁ、誰かのためなどとは思ってない。

自分のためにね。

 

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